
こんにちは。
銀行で働いて気が付けば23年が経過していました。
今回は銀行業界に関心がある学生の方(主に大学文系男子)に向けて情報発信をしていきたいと思います。
銀行業界を取り巻く環境は大きく変化しています。これから銀行に就職するのはお勧めできるのかどうかを解説してきたいと思います。
結論
まず、結論からお伝えしたいと思います。
あくまでも私個人の主観的な意見としてですが、
「基本的にはお勧めしにくい業種である。」
「しかし、キャリアプランの一環としてスキルを習得し、将来は転職などでキャリアアップを考えている方にはお勧めできる。」
と考えています。
現役銀行員がいきなりネガティブな発言をしていますが、順番に説明していきますね。
そもそも銀行業界って今でも人気なの?
私は1998年(平成10年)に銀行へ就職しました。遥か昔のことなのですが、記憶をたどりながら解説していきたいと思います。
当時は就職氷河期と呼ばれており、就職活動が思うようにいかない時代でした。
インターネットが普及しだした頃でしたが、就職活動をスタートさせるためには希望する企業へ資料請求を行うのが一般的でした。人によっては50社にハガキを出したりと大変でしたが、それでも企業から案内が来ないこともザラにありました。
そんな時代のなか周りで人気があったのは商社、金融、マスコミが多かった気がします。私もあまり深く考えず、地元に帰るのでとりあえず銀行に就職しとけば安心だろうと考えていました。
さて、新卒採用サービスを運営するダイヤモンド・ヒューマンリソースが行なった2023年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした「就職先人気企業ランキング調査」によれば、文系男子の1位は3年連続で「伊藤忠商事」となっています。
銀行は・・・三井住友銀行が最高で18位ですね。
同じ金融業界では東京海上日動火災保険などの保険会社が5社、証券会社1社が銀行よりも上位にランキングされています。

何となく銀行といえばエリートで高給取りのイメージがあるかも知れませんが、これが実態です。
実は平成の31年間に破綻した銀行や信用金庫、信用組合などは180を超え、大手銀行(都市銀行、信託銀行、長期信用銀行)も23行から5陣営に集約されています。
今後は地方銀行の再編が控えており、まさに過渡期となっている業界ですよね。
背景を考えるとその理由が分かると思います。
銀行を取り巻く環境
- 日本銀行によるマイナス金利政策によって超低金利が続き、収益力が低下している。
- 人口減少、労働人口の低下が続いている。
- フィンテックの台頭、AI技術の導入、RPA(事務作業の自動化)によって業務効率化が進んでいる。
- 店舗の統廃合、人員配置の転換が進み、事務中心の一般職から提案営業を行う総合職へとシフトしている。
つまり、銀行はこれまで貸出業務を中心とした利息収入では稼げなくなっているのです。
それなのに銀行の数は依然として多く、オーバーバンキングになっているのが現状と言えます。
外部から見るとよく分からない銀行業界ですが、ランキング調査が物語るように、今では人気が無くなっていると言わざるを得ません。
それでも銀行業界に興味があるという人に向けて、実態を解説していこうと思います。
業務内容は?
銀行業務と言っても本部や専門部署など多岐にわたっていますので、一般的な営業店(支店)について説明したいと思います。
支店業務として、一般の店舗では・・・
- 窓口業務(テラー)
- 内勤業務(後方)
- 内勤業務(出納)
- 為替業務
- 融資業務(個人ローン窓口など)
- 融資業務(融資事務)
- 渉外(得意先係)
などの担当業務が存在します。
但し、最近では前述の通りRPA(事務作業の自動化)が進みつつありますので人員は減少傾向にあると思います。
普段目にする銀行員としてテラーの姿がイメージしやすいかも知れませんが、実に多くの人が業務に携わっています。
また小規模店舗となれば内勤係と渉外係しかおらず、融資は母店と呼ばれるエリアの旗艦店に集約されていたりもします。
私も就職するまでは業務内容について詳しく知らず、軽い気持ちで受けたので業界の調査は全くしておりませんでした。
3時にシャッターが閉まるので5時頃には帰ることが出来るだろうと本気で思っていました。
銀行に就職するとどうなるの?
内定後から入行まで(就職前)
さて、銀行から就職内定を貰って、長かった就職活動が終わったとします。
「残りの学生生活は思い出づくりをするぞ!」とワクワクするかも知れませんが、ある種ここからが地獄(苦労)の始まりとなります。
それは、入行するまでに資格取得を勧められます。
いや勧められるというよりは、取得して当たり前のように言われます。
【お勧めされる資格の一例】
- 簿記3級
- TOEIC
- ファイナンシャルプランナー2級
- 銀行業務検定(税務・法務・財務など)
- ITパスポート
- 宅地建物取引士
- 証券外務員
- 生命保険・損害保険取扱資格
- 小型二輪など原付以外のバイクの免許
上記資格は遅かれ早かれ必要となります(取得させられます)
9個目のバイク免許は地方あるあるですがね(笑)
因みに、資格どころか卒業できなかった強者も過去にいました。(翌年に入行しましたが・・・)
入行から配属まで(新人研修)
しっかりと勉強した人、やっと卒業できた人、遊び倒した人も入行の日を迎えます。
入行式で頭取を筆頭に役員がずらっと並んでいたりして緊張するものです。
私の時代は入行式で辞令を貰いました。そこで初めて配属先が分かるのですが、今はどうなんでしょうね?
また銀行によって異なると思いますが、入行式終了後にそのままタクシーに乗って研修所に移動しました。
ドナドナのような気持ちで一杯でした・・・
そう、研修がスタートするのです。1ヶ月の新人研修でした。(一応、週末には自宅に帰ることが出来ます。)
同期との共同生活!
朝はラジオ体操、ランニングから始まり、日々カリキュラムを消化していきます。
札勘(お札を数える練習)、マナー講座、社会人としての心構え、取引先訪問など業務よりも新人としての姿勢を多く学んだ気がします。
ただ、学生気分が抜けず講義中に居眠りをして怒られたりもしましたが・・・
配属から1年目(新入行員)
これも一概には言えませんが、新人はOJT「On the Job Training(オンザジョブトレーニング)」にて育成が行われます。
つまり、ジョブローテーションを行って色々な実務を経験させ、業務遂行に必要な知識や能力、スキルを身につけさせるのです。
なので内勤(後方)で住所変更や改印などの諸届け業務→預金(後方事務)→為替業務→出納業務など浅く広く経験させて頂きました。
最終的にはテラーもやりましたね(笑)
2年目以降は、同様にして融資業務を経験して、3年目ぐらいから渉外(得意先係)にデビューします。
この頃には業務にも慣れつつあり、後輩とかも出来るのでかなり充実した日々を送るようになります。
小規模の店舗では、自分が3年目になっても後輩が配属されず「永遠の新入行員」なんて呼ばれたりもしますが(笑)
銀行に入行して感じることは?
決まり事が多く、細かい
お客さまの大切なお金を扱う仕事なので当然ですが、銀行には様々な決まり事が存在します。
業務に関しては各種マニュアル、規程集が存在するのですが、これは分かりますよね。
しかし、それ以外でも細かく感じた所が結構ありました。
例えば、
- トイレなど自席から離れる際に、印鑑を机の上に置いてて怒られた。
- 新入行員の時に威勢良く「いらっしゃいませ」と言ったら、上司に「ここはラーメン屋か」って怒られた。
- サーフィンにハマり真っ黒になって出勤したら怒られた。
- 髪型ツーブロックにしたら怒られた。
- 飲み会で上司にお酌をせずに怒られた。
- 慰安旅行の幹事をした際に誰よりも酒を呑んで怒られた。(酔ってはない)
- 業務は一人では処理できない(係→オペレーション→承認→検印→再鑑)
- 基本全て記録して残す。(FAX利用履歴、ネット利用でのファイル授受、渉外から内勤への授受、行内郵便の授受など)
- 行内の他部署への書類送付時には送付書が必要(控えも取る)
- 何でも鍵のかかる所へ収納する(ノートPCなど)
など、O型の人間としては戸惑う事ばかりでした。
よく銀行員のイメージは神経質って言われますが、こういうところから来ているのかも知れませんね。
私はコンパでお約束の職業当てクイズの際に、当てられた事はありません💦
やらなければならない目標が多い
次に感じたことは、主に営業活動に関するものです。
銀行の営業マンは計数目標に向けて必死です!
貸出金増加、預かり資産獲得、融資新規開拓、カード推進などなど10項目以上にわたって全てに支店目標が貼り付けられています。
極端な話、それを渉外・テラーの頭割りで振り分けるのですが、笑うしかない水準となります。でも、目標達成に向けて走るのです!それが銀行員なのです。
毎月計数を報告するので、20日頃になると焦ります。上司もピリピリしてきます。
今は少なくなりましたけど、上司によっては罵詈雑言で詰めてきます。
長く営業に携わると結構な確率で胃潰瘍になります。あるいは達観して強靭なメンタルとなるかのどちらかです。
でも、支店でみんなと一緒に頑張って期末に目標を達成した時は感動しますよ。チームの結束力が高まるというか、なんとも言えない達成感に浸ることが出来ますし、仕事を通じて成長させて貰っていると実感します。
ただ、翌日からは新しい期が始まりますがね・・・
若手はとにかく勉強しなければならない
先ほどの入行前で紹介させて頂いた通り、沢山勉強する必要があります。
新入行員時代は、遊びたいのに業務検定や資格試験を受けさせられます。
落ちると怒られます。
また通信講座なるものも並行して受講しています。
地方新聞、日経新聞、ニッキン(業界新聞)を読んでいます。
何故そこまでするのかって?
「自分のため」「将来のため」「家族のため」だからです。
途中で心が折れると終わりです。ただ目の前にあるものをひたすらクリアしていくのみです。
明るい未来を信じて・・・
転勤について
銀行員は転勤族です。
これを聞いて大変と思いますか?
ある意味大変ですが、この業界で長く生きていると転勤があるからこそやっていけると感じます。
営業目標だけでも胃潰瘍になるぐらい大変なのに、嫌な上司に当たると目も当てられません。
でもどんなに嫌いな人がいても、2年から3年でどちらかが転勤しますので解決します(笑)
そう、明るい未来を信じて・・・
また営業で同じ地区を担当していると、先入観が出来てしまって良くないですね。
「あの会社は取引無理だろう」「あのお客さまは提案をしても無理だろう」とか・・・
隣の芝は青く見えるもので、他の支店のマーケットが良く見えたりするものです。
ただ転居を伴うものは精神的に疲れます。子供が小さい時は家族で引っ越ししますが、中学生になると単身赴任率が高まります。
まるで働きバチのようなものです。どこへいってもやる業務は同じなので、ひたすら目標達成に向けて頑張るだけです。
新しい土地、新しい出会いもあり色々な経営者とお会いできるのはこの業界の特権と思います。
私は法人の新規開拓業務に長く携わっていましたが、ご縁で取引を開始して頂いた社長さまはずっと記憶に残っています。
ああ、このために一生懸命勉強して、必死で営業活動をしてきたんだなとしみじみ思います。
明るい未来は、ここにあったのです。
まとめ
今回お伝えしたかったこと
- これから銀行に就職するのは個人的にあまりお勧めできないと思う
- 銀行は入行してからが大変で、下手すると大学生時代よりも勉強しないといけない
- 勉強、業務を通じてスキルアップしていく実感はある
- 経営者との面談を通じて、自分も成長できる
- なので将来のキャリアアップのために銀行を選ぶのはあり(人事部は泣くけど)
- 銀行独特の文化があり、普通の人は違和感を覚える
- 王様ゲームばりに、営業目標は絶対!
- 明るい未来を信じるかどうかは貴方次第
如何でしたでしょうか?
今回の記事は自分の経験をもとにしていますので、メガバンク・地銀・信金などの種類や地域によって異なりますし、時代背景がかなり異なりますので参考程度に見ていただけると助かります。
ここには書けないブラックな時代もありましたよ・・・😭